アグネスランチタイムコンサート
■第14回:2006/05/17『バス歌手 佐藤泰弘の魅力〜歌曲・民謡・オペラ〜』

【佐藤泰弘(バス)】

東京芸術大学大学院博士課程修了。『ボリス・ゴドゥノフ』研究により博士号を授与される。 モスクワ音楽院を経て、文化庁芸術家在外研修員として渡伊後、ミラノに在住し8年間活動。 オルヴィエート市国際コンクール第2位(1位なし)など、コンクール入賞多数。 新国立劇場や東京文化会館など我が国第一線でオペラや演奏会に出演多数。 03年二期会&ケルン歌劇場共同制作『ばらの騎士』オックス男爵では、 演出家G.クレーマーから熱い信頼を得た上、各方面から高い評価を受ける。 05年ボローニャのテアトロ・ドゥーゼで『ナブッコ』ザッカリーアで大成功。 今年11月、二期会オペラ公演、宮本亜門演出『コシ・ファン・トゥッテ』アルフォンソ役に出演予定。二期会会員。


【亀山久美子(ピアノ)】


東邦音楽大学卒業。同大学院修士課程修了。 在学中に全日本ベストプレーヤーズコンテスト入選。三室戸為光賞受賞。 現在は東邦音楽大学伴奏研究員に勤務しながら 各地で演奏活動を続けている。

【プログラム】

山田耕筰「待ちぼうけ」「砂山」/R.シュトラウス「私は愛を抱いている」
デ・クルティス「泣かないお前」/ロシア民謡「ヴォルガの舟歌」
チャイコフスキー「グレーミン公のアリア“恋は年齢を問わぬもの”」(オペラ『エフゲーニー・オネーギン』より)

第14回のアグネスランチコンサートは、バス歌手の佐藤泰弘さんと、ピアノに亀山久美子さんをお迎えいたしました。

バス歌手の方をお招きするのはランチコンサートでは初めてのこと。 8年あまり活動の拠点とされていたオペラの本場・イタリアから帰国されたばかりの佐藤さんが選ばれた最初の曲は、 日本の歌曲・山田耕作の「待ちぼうけ」と「砂山」。 「待ちぼうけ」では歌詞に合わせた身振り手振りも交えてユーモラスに、 一方「砂山」では、故郷・新潟への想いを込めて力強く、対照的な2曲を朗々と歌い上げられました。
失恋の歌なのに、どこかしら陽気なナポリ気質が顕れているという「泣かないお前」、 川をくだってゆく奴隷たちの悲しみが重々しいロシア民謡「ヴォルガの舟歌」など、 佐藤さんは1曲ごとに、その歌の背景にある物語やエピソードを丁寧に解説され、 歌い手でありながら同時に俳優のように演じなくてはならないというオペラの世界の片鱗が垣間見られます。

本編最後の曲となった チャイコフスキーのオペラ『エフゲーニー・オネーギン』の登場人物・グレーミン公のアリア「恋は年齢を問わぬもの」は、 佐藤さんが大学の卒業試験でも歌われたという思い出の1曲。 亀山さんの寄り添うようなピアノの音色と共に、 本場のオペラハウスさながらにアグネスホールに響き渡りました。
アンコールではゲーテの戯曲『ファウスト』のワンシーンをモチーフにした「蚤の歌」で、 王様に寵愛されたというノミの様子をユーモアたっぷりに表現され、 さらに鳴り止まない拍手に応えての二度目のアンコールでは、佐藤さんご自身が11月にご出演されるオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』より、 「アルフォンソのアリア」を披露。

世界を舞台に活躍されてきた佐藤さんは、今後活動の拠点を日本に移されるとのこと。 その素晴らしい歌声を身近に感じることのできる、貴重なひとときでした。