アグネスランチタイムコンサート
■第28回:2007/7/25『ロシアより来日! 〜クズネツォフの奏でるラヴェルの世界〜』

【セルゲイ・クズネツォフ(ピアノ)】

1978年生まれ。モスクワ音楽院を最優秀の成績で卒業。その後ウィーン音楽院の大学院、モスクワ音楽院の大学院等で更なる研鑚を積む。 1999年イタリアのA.M.A.カラブリア国際コンクール優勝、2000年アンドラのアリシア・デ・ラローチャコンクール入賞。 2003年第9回ゲーザ・アンダ国際ピアノコンクール第2位、 2005年クリーブランド国際ピアノコンクール第2位、 2006年11月には日本の浜松国際ピアノコンクール第2位の栄冠に輝いた。これまでに各国のさまざまな音楽祭に出演し、 数々の楽団と共演。その演奏は各国のラジオやテレビでも放送された。2002年にはブラームス、リスト、スクリャービンの作品を収録したCDを、 2006年には新たにシューマンとブラームスの作品を収めたCDを発売。2006年よりモスクワ音楽院のアシスタントを務めている。

【プログラム】

・ラヴェル『鏡(Miroirs)』より 「蛾(Noctuelles)」「悲しい鳥たち(Oiseaux tristes)」
・ラヴェル『夜のガスパール(Gaspard de le nuit)』より
 「オンディーヌ (Ondine)」「絞首台(Le gibet)」「スカルボ(Scarbo)」

第28回のアグネスランチタイムコンサートは、ロシアより来日中のピアニスト、セルゲイ・クズネツォフさんをお迎えいたしました。 今回はタイトルにもあるように、プログラム本編はラヴェルの曲のみという構成。

1曲目の『鏡』はラヴェルが30歳のときに作曲した5曲からなる組曲。今回はその中から最初の2曲『蛾』と『悲しい鳥たち』を演奏。 印象派ラヴェルの繊細な楽曲を、まるで情景を描写するように弾きこなされるクズネツォフさんのピアノの音色からは、さまざまなイメージを喚起させられます。

後半は、ラヴェルの曲の中でも最も高度な技巧を要すると言われる初期の傑作『夜のガスパール』。 フランスの詩人ベルトランの同名の詩集から着想を得て作曲されたこの曲は『オンディーヌ』『絞首台』『スカルボ』の3曲からなる組曲。 人間の王子に恋した水の精をモチーフにした幻想的な『オンディーヌ』、オクターブが不気味な葬送の鐘のように響く『絞首台』、 小悪魔が踊りまわる様子を超絶技巧で表現した『スカルボ』、それぞれの曲の持つ世界観を、圧倒的な演奏技巧で情感たっぷりに表現される クズネツォフさんの演奏の迫力に、満場のお客様も固唾を飲んで聞き入られていました。
演奏終了後、お客様の拍手喝采に立ち上がり、何度も丁寧にお辞儀をされた後、 アンコールに応えて演奏されたのは、ロシアの作曲家スクリャービンの『左手のためのノクターン』。 この曲はタイトルの通り、左手のみで演奏されるのですが、聞こえてくる音色は両手で演奏されている場合と比べて何ら遜色のないもの。 右手を下ろしたまま左手だけで演奏されるクズネツォフさんを間近に見られたお客様からは感嘆の声が聞かれました。

なおも鳴り止まない拍手に応えて、二度目のアンコールではロッシーニ(ギンズブルグ編曲)の『セビリアの理髪師』より『私は町の何でも屋』。 本編での張りつめた糸のような緊迫感とは裏腹に、アンコールはリラックスした演奏で幕を閉じました。

外の蒸し暑さを忘れる、一服の清涼剤のようなひとときをお楽しみいただけたのではないでしょうか。